2/27/2012

Shinsuke Ogawa's Narita: The Peasants of the Second Fortress @ Light Industry

Shinsuke Ogawa's Narita: The Peasants of the Second Fortress
@ Light Industry

I didn't have time to update this blog recently and I was a bit surprised to realize that I did only once this month..

Anyway, today I'm writing about the documentary film "Narita: The Peasants of the Second Fortress"by Shinsuke Ogawa, the legendary Japanese documentary filmmaker, which I had a chance to see on Sunday at Light Industry.

At the time when Ogawa started making documentary films, in Europe and the United States there were documentary film movements occurred such as cinema verite or direct cinema (this is simply related to the development of technology of film camera.) But his and other Japanese filmmakers' style and philosophy were a bit different from those Western filmmakers'. Ogawa believed in that a documentary filmmaker has to live together with the people, participate in the movements, and be a member of the community which he was filming, rather than documenting them as an observant or outsider. When he filmed this film, Ogawa himself actually moved to the village and lived in a same way as the peasants did whom he documented. His philosophy has been shared with many Japanese documentary filmmakers, which has created a very unique style and culture of Japanese documentary film.  (By the way Ogawa is also a founder of Yamagata Documentary International Film Festival in Japan, which is one of the highly acclaimed documentary film festivals.)


Ogawa is one of the legendary documentary filmmakers in Japan, there are very few chances of seeing his films, and I hadn't seen any of his works. Luckily I had a chance to see this film at Light Industry, a unique alternative film space located in Greenpoint, Brooklyn. (I started attending screening there recently, but I am always amazed and fascinated with their excellent selection. If you are interested in under-recognized but wonderful films, you should check it out.)

I am someone from Japan and of course I heard about the resistance which is the subject matter of this film "Narita: The Peasants of the Second Fortress." But my knowledge was more or less simply "I knew strong protects against the plan of building a new airport in Narita, occurred." This documentary vividly reveals what actually happened there to the viewers. How people struggled, suffered, and fought against authorities. The film is so valuable not only as a documentation, but as a remarkable piece of work universally. It was an extremely moving film.





小川紳介監督『三里塚 第二砦の人々
@Light Industry

最近は珍しいことに忙しく、あまり展覧会を見に行ったり映画を見に行く機会がなかったのだが、気が付いてみたら今月は一回しかブログを更新していない状態。。。

ということで、かなり久々の更新。


さて、今日書くのは、昨日観た小川紳介監督による伝説的なドキュメンタリー『三里塚 第二砦の人々』について。

小川紳介は日本を代表するドキュメンタリー映画監督であり、山形国際ドキュメンタリー映画祭の創設提唱者でもある。小川は、ドキュメンタリー映画を撮るためには、単に傍観者のように被写体を撮影するのではなく、実際に被写体たちと共に生活し、そのコミュニティーのメンバーとなって映画を制作するべきだと信じていたドキュメンタリー映画作家でもある。こうした思想は小川に限らず、日本のドキュメンタリー映画監督に共有され、それが日本独特のドキュメンタリー映画のスタイル・文化を築いている。60年代から70年代にヨーロッパやアメリカでもドキュメンタリー映画の新しい運動が起きるが、ヨーロッパではより作家本人の視点が重視され、アメリカではより「観察的」な側面が強調され、日本のドキュメンタリー映画はそうした欧米のものとは一味異なっている。

しかし、実は、小川紳介の作品を観たのはこれが初めて。日本でも特別上映会のような機会でもないと彼の作品を見ることはできない。今回私がこの作品を観たのは、ブルックリンのグリーンポイントにあるLight Industryというところ。週一回ごとに、さまざまな貴重な映像作品を上映している。今年に入ってから何回か行っているのだが、上映作品のセレクションがかなりエッジが効いていて素晴らしい。

さて、『三里塚 第二砦の人々』だが、小川の初期のテーマでもある三里塚闘争(もしくは成田闘争)についての作品である。制作されたのは1971年。三里塚闘争があったということはもちろん知ってはいたものの、果たしてそれがどんなものであったのかは実際は全く知らない。この作品は、歴史教科書的な情報からは決して知ることのできない実体、特に権力に立ち向かう人間らの生々しい姿を写し出している。歴史的記録としての価値ももちろんあるが、この作品を観て痛感したのは、素晴らしいドキュメンタリー作品は、それを超えた文化的価値があるということだ。予想以上に心が揺さぶられる作品であった。

2/15/2012

The Turin Horse



The Turin Horse
a film by Bela Tarr

"The Turin Horse" is the latest and last film by the Hungarian filmmaker, Bela Tarr. Tarr is known for beautiful black-and-white images, long tracking shots, mysterious camera movements, and monotonous but deep stories.

During watching this film, I realized one thing: his film is almost like a dance. He directs a film as if he choreographs movements of actors and the camera. The movements were rather unnatural and mysterious, but it was fascinating to watch them. In the film you can see how unique cinema language he explores. Especially since in this film everything is so limited, more than his other films, his terminology is effectively emphasized.



The Turin Horse
ベラ・タール監督

ハンガリーの鬼才、ベラ・タール新作『The Turin Horse』(日本語題:ニーチェの馬)が公開されている(Bela Tarr、日本ではタル・ベーラと表記されるよう)。ベラ・タールは美しい白黒の画面と長まわし、不思議なカメラワークで知られ、決して見やすい作品ではないにも関わらず、根強いファンが多い。

代表作として、7時間半を超える『サンタンゴ』、『ヴェルクマイスター・ハーモニー』、『倫敦から来た男』などがある。

かなり重々しい作品ばかりを撮る監督だが、まだ56歳だという。そしてまだ56歳にも関わらず今回の『The Turin Horse』を最後に監督業から引退すると宣言しているようだ。

この映画は、哲学者のニーチェがトリノ市でむち打たれる馬を見て、怒り、馬を守るようにその首に抱きついて泣き続け、そして昏倒したというエピソードの紹介から始まる。主なる登場人物は嵐が荒れ狂う荒野の中にある家に住む農夫とその娘、そして馬のみ。そして物語らしい物語もない。彼らが体験する七日間が映し出される。しかし、彼らの生活はただひたすらに同じことを繰り返すことしかない。同じように水を汲み、同じように芋をゆで、同じように芋を食べ、同じように服を着る。しかし、彼らの生活に少しずつ異変が起こる。

おそらくこの世の最後の七日間を描いた映画なのだろう。しかし、その実体は最後まで謎に包まれたままである。映画はただ荒れ狂う嵐とその中で苦悩しながらも慎ましく生きようとする人間の本質を浮き彫りにしているようである。人間と神、もしくは人間を超える力との関係を描いているとも言えるかもしれない。

物語の意味については幾通りにも解釈できるだろうし、それについてここで書いても仕方がない。むしろそれ以上に印象深かったのは、ベラ・タール独自の映画言語が際立っていたことである。

ベラ・タール作品は『ヴェルクマイスター・ハーモニー』と『倫敦から来た男』しか見たことがなかったのだが、実は「好きなようでいて、どこかしっくりこない」という印象があった。映像の美しさや不思議なカメラワーク、単調でありながら奥深い物語はすばらしいと思う一方で、もったいぶった長まわしや音楽の選び方・使い方が実はそこまで好きではなかったのだ。この『The Turin Horse』での音楽の使い方はそこまで好きになれなかったが、過去の作品と比べてもより一層単調な物語と、限られた舞台空間によって、彼の技法がより効果的に機能している。

特にこの映画を見て気付いたのは、彼の映画は、映画というよりも、まるでダンスである、ということだ。というのも、彼の映画は「動き」についてなのである。不自然なまでに決められた動きをする役者と、不思議な動きをするカメラ。計算され尽くされたライティングと奇妙なほどに限られた台詞。そしてその計算されたシーンを撮影するために、かなりのリハーサルが繰り返されていることは容易に想像される。それはまさにダンスを作るプロセスである。そしてその計算された不思議な「ダンス」によって独自の映像世界を作り出しているのだ。

これが本当にベラ・タール最後の作品となってしまうのだろうか。

1/28/2012

Screening of "Nakagin Capsule Tower"



Finally I have an opportunity to show my film "Nakagin Capsule Tower" in New York! It will be screened at the Center for Architecture as part of a tour of Montreal International Festival of Films on Art. Please join me for the screening.

Date & Time: Saturday, February 4th, at 4:30pm
Venue: The Center for Architecture (536 La Guardia Place, New York)
Admission: $15 / day

In addition to my film, five other films on architecture will be presented in this event on the 3rd and the 4th. For more information, please visit the website of the Center at: www.AIANY.org

For the description and information of the film:
http://www.rimayamazaki.com/project/nakagin-capsule-tower/



2010年に制作した『中銀カプセルタワー』をついにニューヨークで上映するチャンスが手に入りました。ご興味がありましたら是非お越し下さい。

日時:2月4日(土) 午後4時半から
場所:Center for Architecture(536 La Guardia Place, New York)
入場料:一日15ドル

これはモントリオール芸術映画祭の巡回上映会で、私の作品の他に、建築をテーマとした5作品がこの上映会のために選ばれています。詳しい情報はこちら:www.AIANY.org

作品の詳細についてはこちらを:
http://www.rimayamazaki.com/project/nakagin-capsule-tower/

1/23/2012

Once Upon a Time in Anatolia

Once Upon a Time in Anatolia
Nuri Bilge Ceylan(ヌリ・ビルゲ・ジェイラン)監督



久々に、つかみどころのない映画を見た。しかし、それはあくまで良い意味での「つかみどころのなさ」である。観終わった後もしばらく、「あの映画の意味はなんだったのだろうか」と考えずにはいられなかった。

今ではカンヌ映画祭などの常連となっているジェイラン監督。トルコの映画監督ではあるが、ヨーロッパ受けするタイプの映画を撮る人である(トルコもヨーロッパではあるが)。

暗い色調と静かでゆっくりとしたテンポが特徴的である。写真家でもあることから、どの画面も構図やライティングが完璧であり、実に美しい映像を作ることでも評価されている。

この監督の作品は出世作の『冬の街』(英題:"Distance";トルコ語題: "Uzak")と、2008年に発表した『Three Monkeys(英題)』を見ているが、正直なところ、美しくも暗い画面と、重々しい雰囲気ということしか記憶に残っていなかった。どんなストーリーだったのか全く思い出せない。そしてあまりにもトルコっぽくないのである。何を持ってトルコっぽいというかは難しい問題だが、少なくともトルコで人気があるとはあまり思えない(ちなみに、一応、大学時代にトルコがらみについて勉強したことがあります。。)これが、ロシア人だったらかなり納得させられるのだが。

ハイアートな美しい映画を作ることは素晴らしいと思いつつ、あまりにもヨーロッパの映画祭を意識した作風をそこまで好きになることはできなかった。

しかし、新作の『Once Upon a Time in Anatolia』は、スタイルを保ちつつも、過去の作品とは少し違った作品となっている。

いわゆるロードムービーではあるが、かなり変わったロードムービーである。物語は、三台の車が夜の田舎道を走っているシーンから始まる。車に乗っているのは、捜査官、検察官、容疑者、医者など。どうやら殺人事件が起こり、その死体を埋めた場所を探している道中、というのはわかるのだが、それがどういう殺人事件なのか説明されることはない。事件当日、容疑者は酔っぱらっていたためか、埋めた場所をはっきりと覚えていなく、数カ所を巡ることになるのだが、その道中で登場人物が話すのは、殺人事件についてではなく、食事の話に始まり、健康、家族、村の政治、そして死や自殺などと、取り留めのない話ばかり。

死体遺棄した場所を見つけることはできたものの、殺人事件の真相は最後まではっきりせず、逆にますます謎が深まるだけである。しかし、殺人事件の内容はこの映画ではあまり重要ではない。世間話のような取り留めのない話がこの映画の全てなのである。

映画を見ていくと、医者と検察官に徐々に焦点が絞られてくる。そしてこの二人には何か暗い過去があるようだが、それが何かは全く明らかにされない。ぼんやりとほのめかされるだけである。しかし、そこから誰しもが抱える人生の不条理さや困難さが読み取られる。

この映画は一回観ただけでは何も分からない。だからといって二回観ればわかるかというと、きっとそんなこともない。ただ、もう一回は観ないとならないだろう、と思わせる作品である。

過去の作品と比べて、今回の作品が良かった点は、登場人物それぞれの性格が些細なところで明確に描かれているところだろう。また、所々にユーモアが含まれていて、作品にほどよい軽さが加わっている。また、トルコが抱える社会的な事象も会話の端々に垣間みられ、特殊性と普遍性がバランスよく混ざった作品になっている。

もう一度見に行かなければ。

1/20/2012

Crazy Horse

Crazy Horse
a film by Fredrick Wiseman
now playing through February 7th


Although he has changed nothing of his shooting style, "Crazy Horse" is very different from his other films. He completely switched to digital filming techniques: he used a HD camera and a non-linear digital editing software. This somehow has affected Wiseman's film style. Digital techniques allows him to make a very smooth film, without any abrupt transitions between scenes and cuts. But I realized that abruptness was part of the uniqueness of his films. In his past films, there were always gaps. And because of the gaps, the viewers had to watch in a more active way, interpreting the meanings and reading those gaps. Also the gaps show that what we are watching is just a film edited by someone else, which is not the reality. The viewers are not allowed to reach the world shot in the film completely. The gaps always bring us back to the world where we are now.

So I was a bit bewildered to see that he has made an 'ordinary' documentary film.

I really enjoyed the film, or maybe I should say, it was exiting to watch and know about Crazy Horse, the club. Their shows were hilarious. But I am not sure whether I can all this film as a Wiseman film...



Crazy Horse
フレデリック・ワイズマン監督
2月7日まで


ワイズマンの新作『Crazy Horse』が先日からFilm Forumで上映されている。

タイトルの「Crazy Horse」はフランス、パリにあるナイトショーで、芸術的なヌードショーで有名であり、観光スポットの一つでもある。ワイズマンは、1996年にコメディー・フランセーズの、2009年にはパリ・オペラ座のドキュメンタリー作品を発表しており、今回の作品はそれに続くパリ三部作の三作目になる。

インタビューを使用せず、ただ、観察するように撮影し、そこから作品を作り出すことで知られているフレデリック・ワイズマン。様々な題材を扱いつつも、基本的スタイルを変えることなく、ドキュメンタリー作品を作り続けている。82歳であるにもかかわらず、代わらず精力的に製作を続けているのは驚異的だ。

ワイズマン作品のうち大体半分ぐらいは見ているのだが(15本ぐらい)、今回の作品は過去の作品とはかなり違うという印象を受けた。何が違うのか。決定的な違いは、この前の作品までは16mmフィルムを使い続けていたのに対し、この作品ではHDビデオを使用している点だ。

今の時代、フィルムでドキュメンタリーを製作しているところは皆無である。コスト的にもフィルムを使うのとビデオを使うのでは全然違うし、それ以外にも、ビデオの方がドキュメンタリー製作にとって都合の良い面がいろいろある。またフィルムを扱うラボも閉鎖されてきているのも現状だ。

なので、ワイズマンがビデオに移行したとしても何の疑問もない。しかし、ビデオに移行したことによって確実にワイズマンの製作プロセスやスタイルに変化が生じている。特に、編集の仕方が違っている。以前の作品では、シーンの切り替わりがもっと「ぶつぎれ」な感じだったのに対し、今回の作品では音声をかなり操作しているためか、妙に滑らかになっている。「ぶつぎれ」はつまり、要素と要素の間にある「隙間」があることを意味しており、彼の作品においては、その「隙間」があるということが実は重要であった。「隙間」は、映画は単に映画でしかないこと、そして編集というものの本質、制作者の存在を表していた。また観客は、その「隙間」を埋めるように、シーンとシーンを結びつけなければならず、それは積極的鑑賞を必要とする。思考しながら見なければならない。しかし、その隙間が生じないように編集してしまうと、観客は「積極的鑑賞」をする必要はなく、ただ漫然と映画を見ればいいだけである。

粗さが失われたワイズマン作品は、意外と普通の作品だった。そしてこれが、今回見ていてかなりの違和感を感じた原因なのであろう。

映画の内容だが、題材のCrazy Horse自体がかなり面白いショーを見せているので、見ていて全く飽きない。実際にパリで見に行きたいと思うようになった。

ワイズマンの映画を楽しんだというより、Crazy Horseのショーを楽しんだという感じである。

1/14/2012

Sarah Sze: Infinite Line

It took so long to update this blog since the last time. I had a few unexpected problems from the end of last year and the beginning of this year, I was so preoccupied with them. One of the problems actually happened to my laptop! That's why I couldn't write anything for the blog.

Anyway. One of the exhibits I went to these days was Sarah Sze's show at Asia Society, titled "Infinite Line"


Sarah Sze: Infinite Line
@ Asia Society
on view through March 25, 2012


This exhibition features her new series of installations as well as some of her drawings and works on paper. 

Sze is well known for creating poetic and lyrical installations assembling everyday materials. In her works, anything - notepads, pencils, credit cards, plastic cups -  looks lively. By laying out each element carefully, she creates a unique world which mesmerizes the viewers. 

Although it was still interesting, it might be a little bit disappointing show for people who are familiar with her work. Her new works looked less ambitious than previous works. For instance the piece at her gallery show in 2010 (see my past posting) was more powerful and mysterious. Or maybe I should say, I saw more organicity in her past work while I felt the new works were rather inorganic.

On the other hand it was nice to see her drawings and works on paper, which clearly showed her basic approach to art and to the world. One trivial thing connects to another which leads to another one again, 
and those small connections create a new collective entity. 




年末から年始にかけて色々と問題が発生し、なかなかブログを更新できない状況に陥っていました。そして、やっとブログを書こうと思った矢先、パソコンに不具合が生じ、修理に出すはめに。。。とはいえ、預けるのは数日で済み、今日無事生還しました。

その間もいくつか展覧会や映画は見ていたのですが、全てを思い出しながら書くのはさすがにできないので、印象に残ったものだけ書いていきます。


Sarah Sze: Infinite Line
@ Asia Society
3月25日まで

アジア・ソサエティでSarah Sze(サラ・ジー)の個展が開催されている。

Szeは文房具や紙コップ、クレジットカードやレシートなど、日常に身近な物を並べたり、組み合わせたりしながら、インスタレーション作品を作るので有名なアーティストである。中国系の血を引き、ニューキョークに拠点を置いている。

彼女の作品の中に使われている物はどれも見慣れたものであるにも関わらず、まるでいきいきとして見えるから不思議である。日常品をアートへ変換させるとは、まさにこういうことなのだろか、とさえ思う。

一つの物が別の物と繋がり、それがまた別の物と繋がり、そうした小さな繋がり続くことによって、新しい集合体を作り出し、それが新たな世界を形成している。制作の過程で、思い付きのように手元にあるものを作品の中に取り込むこともあるようだが、しかし思い付きだけではここまでの作品は出来上がらない。どこまで計算されて、どこまでが偶然なのかはわからず、それがまた魅惑的でもある。

彼女の過去の作品と比べると、正直、驚きというのはない。例えば、2010年のギャラリーでの個展で発表した作品の方がもっと野心的であり、また新たな事に挑戦していたように思う(過去の記事を参照)。個人的には、前の作品ではもっと「有機的」な印象があったのに対して、今回の作品はどこか「無機的」な感じてもあった。

今回の展示会ではドローイング等の作品も併せて展示されている。インスタレーションでの彼女のアプローチが同じようにドローイングでも明確に表れていて、それはそれでかなり興味深かった。


12/31/2011

A Look Back at 2011

Looking back at this year, I made a list of memorable films, exhibitions and others... based on my very personal opinions and impressions...

[documentary films]

This year there are several good documentary films. Especially it was very surprising to see two new films by Werner Herzog, Cave of Forgotten Dreams and Into the Abyss, within a year. Tabloid was a very entertaining film, I enjoyed it as a 'film', rather than as a 'documentary film.'


[films]

Needless to say, A Brighter Summer Day by Edward Yang is a masterpiece, which was actually made in 1991 (but was US-premiered this year.) I felt lucky that I could watch this restored film at a theater.
 Midnight in Paris by Woody Allen was the best among films made by American filmmakers this year, although it was filmed in Europe (For Woody Allen, Europe is now a great inspiration in recent years.) Certified Copy by Abbas Kiarostami was a mesmerizing and beautiful film.


[museum exhibitions]
Francis Alÿs: A Story of Deception @ MoMA & PS1
Cronocaos @ New Museum

Although I saw various museum shows throughout this year, few were striking and impressive. Two of the exhibitions I listed above were actually not art exhibitions, but one is a documentary filmmaker's retrospective, the other a show about architecture. Cronocaos was an eye-opening, informative and intelligent show. Regarding Harun Farocki, to be frank, I am not sure whether the exhibition was good or not, I simply loved his films... But it is true that it was a great introduction to his work which was barely known in the US.

The art exhibition I liked best this year was actually the retrospective show of Francis Alÿs at MoMA and PS1, although somehow I didn't write anything about this show on my blog... I loved Alÿs' humorous sysiphusean challenges, and I found his video art pieces very dramatic and cinematic. I guess most people would list Alexander McQeen's show or de Kooning's retrospective instead... (I didn't included them in the list just because I didn't 'fell in love' with those.)


[gallery shows]
Nick Cave: Ever-After @ Jack Shainman 

The Clock was one of the most successful pieces this year (the debut was actually in 2010 in London though.) Christian Marclay was awarded the Golden Lion for this piece at the 2011 Venice Biennale. But, otherwise, there were few surprises from galleries in New York. (I listed Nick Cave's show since I personally liked his work.)


[book]

This book about Metabolism, the avant-garde architecture movement in Japan, was a fabulous gift from Rem Koolhass and Hans Ulrich Obrist. 

In addition, this year I read several books by Philip Roth which fascinated me a lot, such as Human Stain, American Pastoral and Nemesis (I didn't include them because none of them were published this year.) 


Anyway... have a happy new year!





今年を振り返って、心に残った映画や展覧会などをまとめてみることに。(かなり個人的な好みに基づいているので、かなり偏っているが。。。)

<ドキュメンタリー映画>

今年は例年以上に良質のドキュメンタリー作品が上映された年だった(まぁ、仕事柄、人よりもドキュメンタリー映画を観る方だし、年々観る本数が増えているのも事実だが。)特に、ヴェルナール・ヘルツォーク監督のドキュメンタリー作品が二本 も発表され(『Cave of Forgotten Dreams 』と『 Into the Abyss』)、どちらもそれぞれ異なるタイプでありながら、見応えがあった。エロール・モリスの『Tabloid』は、彼のスタイルを維持しながらも、エンターテイメント性のあるテイストに仕上げ、観ていて単純に楽しめた作品。


<フィクション映画>

正確には今年の作品ではないのだが、アメリカで今年初公開された『牯嶺街少年殺人事件(英題:A Brighter Summer Day)』(1991年製作)は、今年観た中でやはり一番すばらしい作品であったし、おそらく今まで観てきた映画の中でもトップ5に入るかもしれないぐらい心に残る作品であった。今年の作品ということでいったら、ウッディ・アレンの『Midnight in Paris』が一番良かっただろう。近年のウッディ・アレンはヨーロッパから新しいインスピレーションを受け、また一味違った、それでも彼らしさのあふれる映画を作るようになった。嬉しい復活である。アメリカ以外の映画監督の作品ならば、キアロスタミの『Certified Copy』が文句なしに良かった。美しい作品。



<展覧会(美術館)>
Francis Alÿs: A Story of Deception @ MoMA & PS1
Cronocaos @ New Museum

展覧会も例年のようにそれなりに見ているはずなのだが、正直なところ、それほど圧倒されるほど感動した展覧会というのはなかった(まぁ、そんなに毎回感動していたら大変だが)。そして美術展覧会となると、なおさら思い当たらず。上に挙げたCronocaosという展覧会は建築がらみの展示であったし、Harun Farockiは映画作家・ドキュメンタリー映画監督である。

美術展に限ると、個人的には実はMoMAとPS1で開催されたFrancis Alÿsの個展が一番好きであった。(と、気付いたら、どういうわけかその展覧会のレビューをこのブログで書いていないのだが。。。)ビデオアートというより、パフォーマンス的な作品を記録したビデオが多く展示されていたのだが、そのビデオが予想していたより「映画的」であり、いわゆる映画よりもおもしろい映画じゃないか、とさえ思ったりした。ある種のドキュメンタリーでもあり、その予測不可能性で満ちていて、観ていてはらはらさせられた(まぁ、あの映像を見て、「はらはらさせられる」と思う人は少ない気はするが。。。)また同時に、映像の持つ「記録性」と「目撃性」が実はかなり強調されていて、いい刺激になった。

まぁ、おそらく一般的に良い展覧会というとアレクサンダー・マックイーン展とデ・クーニン展の方が上なのかもしれないけども(確かに素晴らしい展覧会ではあったけども、それなりのもともとの期待値がそこそこ高かったこともあり、感動するほどではなかったかな。)


<展覧会(ギャラリー)>
Nick Cave: Ever-After @ Jack Shainman 

ギャラリー展となると、これまた今年はあまり印象的なものはなかったのだが、挙げるとしたらやはりクリスチャン・マクレーの『The Clock』だろう。そして、一般的にも、一番成功した作品ではないだろうか。今年のヴェネチア・ビエンナーレでこの作品を発表したマクレーは金獅子賞を受賞している。(Nick Caveの個展は、単に私が個人的に好きな作品だったから。)


<本>

はやり今年の一冊は、レム・コールハースとハンス・ウルリッヒ・オブリストによる『Project Japan, Metabolist Talk』である。建築好き、もしくは日本建築に興味があるならば読まなければならない本だろう。そして読んで面白いし、刺激的でもある。コールハースとオブリストが「メタボリズム」という謎を少しずつ紐解いていく過程も読んでいて見えてくるので、それまた面白い。

フィクションならば、どういうわけか、フィリップ・ロスの本を今年は結構読んでいた(4・5冊ぐらい。。。)今年の新作はないのだが(最新のNemesisは去年発表された作品)。


それでは良いお年を。。。